LIVE REPORT

ART-SCHOOL
Tour 2016
Hello darkness, my dear friend
in 名古屋 ell.FITS ALL    2016.7.3

ー永遠のティーンエイジー

久々のアートスクールだった。彼らを観るのは私にとって2004年以来となる。
長い年月と幾度かのメンバー交代。その時間の刻印が何かを変えてしまうこともある、しかし、木下理樹は彼自身のまま、またステージに立っていた。
ライブはもちろん今回のレコ発公演である。そして、活動休止からの復活の意味も持っている。ただ、木下理樹にとってそのファクターは、重要な意味を持たないと今回強く思った。

歌う理樹は、初めから辛そうで、声も出にくそう。見るからに疲労困憊な雰囲気を醸し出していた。(ギターの戸高賢史は、最近ライブが5連ちゃんだったとMCで明かしていた。)でも、あぁ、アートだ。誰もがそう思ったのではないか。演奏にしても、戸高賢史のギター、中尾憲太郎のベースと藤田勇のドラムという鉄壁のリズム隊がいれば、僕達はその流れに飛び乗るだけなのだ。
彼らのサウンド・ライブラリーにある、オルタナ、グランジシューゲイザーダンス・ロックな音像が今回も彼らのライブを彩っていたことは言うまでもない。そして、今のアートの曲が流れつつも、やはり、要所要所では、過去の彼、戸高が言うように、氷のような木下理樹がいた頃の曲が私たちオーディエンスを揺さぶり続けていった。

今回のライブの中で、何か特筆すべきことがあるかと聞かれれば、探そうとはする、でも正直探したくない。木下理樹は、アートスクールは何も変わっていない。でも、それが今の時代に凄いことではないか?すぐに新しいものを求められる今、あの2000年当時にから、何1つ動いていない、そんなライブの現場がそこにはあった。
つまりは、何も成長していないことを許してくれるホームタウンがそこにはある。それがアートスクールのライブだ。しかし、それを創り出している彼ら自身は、並大抵の努力でそこに立っている訳ではない。という事は今のアクトを観ればわかる。だからアートのライブは、いつも途方もない感情移入を許可してくれるのだ。

正に、やあ、暗闇よこんにちは。友よまた会えたねっていう感じが今でもアートスクールから匂ってくる。
いつまでも変わらないものなど無いに等しい2016年だからこそ、こういうバンドが存続してくれることが、神秘でもあるのだ。
だから、僕はアートスクールというバンドを愛している。それが今日確信に変わった。それはこれからも変わらないだろう。