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ロック評論家 ROHITOのブログ

DISC REVIEW

BUMP OF CHICKEN『アンサー』

―あの手紙への返信―

    今一度、BUMP OF CHICKENの作品を振り返ってみると3つのポイントがある。1つ目は『orbital period』 で藤原基央の詩の世界で歌われてきた弱い自分と強い自分との統合がなされたこと。2つ目は、「ゼロ」でバンプが誰かのための灯台(光)になることを表明したこと。3つ目は『Butterflies』でバンプというバンドが藤原基央自身を巣立ち、蝶の様に旅立った瞬間があったことである。
 それ以降、藤原基央自身のパーソナルな視点の物語と、彼の元を巣立ったバンプというバンドの物語は、クロスオーバーしつつも、お互い異なる二極の道を歩むことになったのだ。
 この「アンサー」は、藤原基央側の物語と捉えることが出来る。おそらく、いや少なくとも、彼の物語にいた“旅人”はもういないのである。それはバンプが彼の元を巣立ったのと、ほぼ同じ時だったはずだ。その最初の一歩が「ファイター」であった。あの瞬間、旅人=藤原基央となったのだ。つまり、彼の仮想空間にいた旅人は、遂に現実世界にいる彼自身を描いた藤原基央と出会った。この邂逅が彼自身を現代の“ファイター”へ導いたのだ。
 だとすれば、この「アンサー」は何にむけてのモノなのか。「ファイター」へのアンサーソング?ではない。藤原基央と旅人、お互いに向けたアンサーソングでもない。
 これは、「宇宙飛行士への手紙」へのアンサーソングと言える。この曲は藤原基央と旅人の邂逅を予言する歌だったと思う。
 “今が未来だった頃の事”という歌詞があるが、これが本当に今のタイムラインと一致した時が「ファイター」。そして、そのもらった未来からの手紙への返事として「アンサー」という曲が生まれたのだ。
    “それだけわかってる わかってる”
    “僕だけわかってる わかってる”
 もらった手紙の予言で、そうなるとわかっていた、でもそこまでたどり着くのにどれだけのことがあったか、その思いを反芻するような歌詞が、坦々と流れるビートに乗り深く刻まれ、最後の決意表明の歌詞と共に閉じられる“アンサー”だ。