DISC REVIEW

ART-SCHOOL『In Colors』

 

―パラダイス・ロストの次の景色―

 

ふと3rdアルバム『PARADISE LOST』を思い返す。本作は、これの次に鳴るべき音だったんじゃないかと思った。2005年はアートが自身のバンド・サウンドに、音響系やダンス・ミュージックを取り入れた転換期だった。以降その側面は、オルタナティブ・ロックの一つの色として、ずっとアートに息づいてはいたが、その音楽的な傾向を活かすような、陽性でポップな作品は生まれてこなかったと思う。

 

それが、バンドが現体制なって数年が経ち、木下理樹以外のメンバーが徐々に作曲に参加し始めた結果、失われた楽園の向こうの景色が見えるような本作を生み出せたのだろう。特に作曲が共作の楽曲を見てみると。M1,2,5は戸高賢史との共作で、ポップでテンションの高い楽曲。M3は藤田勇との共作で、ダンスロックな楽曲。それに後押しされたか、元々持っていたか、木下理樹単独の曲もロックの持つ陽性なポテンシャルが感じられる楽曲となっている。

 

先日見たツアーでの演奏でも、その傾向は、はっきりと出ていた。ライブの中で、アートのメタルな部分、音響系な部分とダンス・ミュージックな部分が明確になり、バンドに多彩な色を与えていた。

まさにカラフルな楽園を描けたのだと思う。