DISC REVIEW

CRYAMY

『YOUR SONG』

―英雄なき世界へ向けた言葉―

5曲入り3rdシングル。ツアー再開後発売の本作はコロナ過の閉塞感を適切にロックへ昇華する。

1曲目弾語りは初。「HAVEN」では《どこかに行きたいのに/どこにも行けない》という歌詞が2020年に立向う姿勢を占う。2ndシングルの「ディレイ」の傾向を引継ぎミドルテンポの曲が続く。「N・N・K」という意味深な曲は体制への批判と自身の批評をかけ《迎えは来るのでしょうか》と歌うブラックユーモアなロック。続く「くらし」はロックの定番歌詞《あるがままに/なすがままに》と歌うポストグランジ。次が「死体」という恐ろしい曲で歌詞も《殺してやりたいほど憎い人がいて》と歌うシューゲーザー。録音がカワノ家で納得。最後は前4曲が嵐の前の静けさの如く《ただ言葉足らずを許し合って/あなたのためにと微笑んだ》とエモコアで「まほろば」を歌い切る。

英雄なき世界の今、そこにいるあなたに届けようとするCRYAMYのロックはポップミュージックとしての正しさを表す。