DISC REVIEW

BUMP OF CHICKEN

『SOUVENIR』


ーみんなのバンプが生み出した「ダイヤモンド」の再定義は「ランプ」の再定義に向けた旅立ちの曲ー


おそらく『aurora arc』の次に鳴るべき音だった曲だ。バンプコクーンとしてのバンプを巣立つ意味合いがあったアルバムを経て、新たな旅立ちを象徴するのは、この曲をおいて無かったはず。しかし旅には想定外がつきもので、季節の変わり目には体調を崩したりもする。猶予期間が終わりを告げたのだ。ようやく名実共に、生身の4人がバンプとしての歌を歌い始めた。

それと共に感じるのは「太陽」の再定義曲「クロノスタシス」は、通過すべき絶対的なものだった。ドアを出なかった側の未来を示唆した、つまり藤原基央が常に描き続けてきた、物事の陰の部分を確実に丁寧にレクイエムした曲を辿る必要があった。これを成し遂げるための大切な期間だったとも言えるだろう。そして、ここに戻ってきたのだ、ついに「ダイヤモンド」の再定義まで。

シークレット・トラックもバンプのファンにとってはお土産なのかも。その延長線上にあるのが「ラフ・メイカー」、「かさぶたぶたぶ」や「ダンデライオン」そして、「新世界」だった。バンプの曲にはシリアスなものと、逆にコミカルなものがあるが、じつは後者の方が伝えたいことはヘヴィーだったりする。その系譜にある楽曲自体を再定義した結果、生まれたのが“お土産”という新たな出発地点だったのだ。

残された『FLAME VEIN』と『THE LIVING DEAD』。この途轍もない喜怒哀楽を伴って産み出された2作。あの衝動的結晶を新たなる文脈で再構築する事は私たちにとってのお土産になり得る。いや、これはバンプのファンのみならず、すべての人に伝えるべき事柄でもある。ーーー自分を救う方法論のサンプルにもなるはず…控え目に言っても、ロックバンドの使命なんだよ。私はその旅の途中にある「ランプ」の再定義を夢想し続けている。