DISC REVIEW

Seukol
『Long Take - EP』


ーSeukolが2022年にギターソロを止めない理由とは?ー


レディオ・フレンドリーでないブルース。このストリーミング時代において、Seukolには初っぱなからの長いイントロで出鼻を挫かれる。いやはや、でも少し聴いてみようよと、腰を据えて向き合ってみると彼らのロックの魅力は爆発し始めた。でもなんで2022年にギターソロをこんなにも奏でているんだ。

やはりGRAPEVINEの影響を感じてしまうのだが。そのようなブルースがしたいのだろう。しかし、ロックンロール・リバイバルを通った後の世代の彼らは、ロックの原始的な性急さや粗さを上手く併せ持った楽曲に仕上げている。だから変に日本の90年代末〜00年代の再現では無く、しっかり2022年の音として聴く事が可能である。さらに、影響を受けたバンドに対して通常は少しコマーシャルになるのが正攻法だが、彼らはより匠の技への傾倒、アンチコマーシャルな佇まいを持っているのが特徴だ。

果たしてギターソロはまだ続いているのか?コロナショックによって私たちは確かにロックの有効性を改めて感じた。しかし、地方都市がもう復興する事がないように、匠の技が途絶えていくように、ロックが昔のように再興していくことはもう無い。ギターソロが止まったかように見えたのはストロボ効果のせいで、まだ続いているってか?いや、それ何億年前の星の光だと思ってんだ。

なぁ、なんでカメラ長回しし続けているの?いや、これもう止まってるんだよって。なぁ、なんでまだギターソロ弾き続けてるんだっけ?Seukolに聞いてみた。いや、もう成熟し過ぎてるんで止めようかと。なぁ、なんでまだブルースしてんだよって、ロックが無くなったら悲しいからに決まってんだろ。ーーー唯一の希望は、成熟したロックはSeukolのような未成熟な歌声を待ち続けている…それだけだ。