DISC REVIEW

シャムキャッツ

『Friends Again』

 

シャムキャッツシャムキャッツでいるために―

 

 シャムキャッツってバンド名になぜ決まったのか、私は知らない。どこかのインタビューでメンバーが質問されて、答えているのかもしれないが…。それをいいことに勝手に考えてみた。“キャッツ・アイ”や“Cats”など、猫がタイトルになることは少なくない。かわいい動物の代表格である名前をバンド名につけるという案は100点満点だろう。ロックバンドのイメージから考えて尚良。


 シャムキャッツが“猫”という名前にギャップを感じる程のロック×2な人達かといえば、そうは感じない。むしろ猫っぽい4人の男と例える方が納得し易いだろう。じゃあ猫みたいなヤツらだからシャムキャッツって名前でいいじゃないか?という風にバンド名が決まったと、私は思い込むことにした。


 2015年のミニアルバム『TAKE CARE』では、さほど猫っぽさは感じなかった。ただ、猫の目線で彼等の物語は紡がれていると感じた。そのスピード感と音楽自体のテンポも含めて、同世代のバンドとはズレている。寧ろ、ずらしていることが彼等のアイデンティティであり、世間に対してのアンチになっていた。その並々ならぬ努力の結果、シャムキャッツは存在しているのだと思う。


 今作では「Funny Face」の歌詞に猫が登場した。正に猫々しい作品。シャムキャッツというバンド名に相応しいアルバムになったと思う。でも、これから猫っぽさ全開で突き進んでいくわけでもないだろう。かわいい娘を可愛い猫と喩えることは言わずもがな。彼らはいずれ、バンド名の本当の意味を語ってくれるのかもしれない。少なくともそれまでは、作品を片手に想像してみるのもいいだろう。


 “もう一回 ふざけたら ただじゃ おかないよ”と去勢された元オス猫は言う。でも彼は「元ではなく今もオス猫だ」と言い張っている。それは当たり前なんだが…。男が男でいることの難しさを抱えた同世代の想いを、このバンドは代弁できているのかもしれない。そんなシャムキャッツの戦いは終わらないし、これからが本番なんだろう。