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ROHITOのロカリロロロ

ロック評論家 ROHITOのブログ

LIVE REPORT

ROCK IN JAPAN FES.
LAKE STAGE
米津玄師

日も暮れた18時40分を過ぎたころ、LAKE STAGEに米津玄師が現れた。

米津は、紺色っぽいダボダボのトップスに、赤のガウチョパンツ的なのを履いていた。シルバーのピアスを両耳に垂れ下げ、大層な前髪で目を隠した彼をそこで見たとき、そうか、これが米津玄師かと僕は思った。

おそらく、彼のディスクを聴いた人にとって、その彼の佇まいと描いていたシルエットがはじめから重なる方は稀なのではないかと感じた。米津の制作スタイルや音楽性からして、ともすれば、堅苦しい、インテリジェンスでシリアスな姿を勝手に思い描いていた僕は軽い肩透かしを食らってしまった。これが、今の彼がロックとして立ち向かう時のファッションなのだろう。

先ずは、3rdアルバムからのリード曲「アンビリーバーズ」が一気にオーディエンスをダンスホール的な現象に持っていく、続く1ndアルバムからアッパーな「ゴーゴー幽霊船」がその勢いに拍車をかけ、その流れでの2ndアルバムから、「メランコリーキッチン」の16ビートのギターカッティングがダンサブルの極致へと持っていく。

次に、ミドルテンポのバラード曲の「Blue Jasmine」「アイネクライネ」が会場をしっとりとした雰囲気にさせた。

その後、米津がMCで、18のときはじめて、観客としてロックインジャパンをみたことを話す。それは楽しいものだったが、音楽家を目指している自分にとっては関係ない場所だと、その時は思っていた。
しかし、今は関係ないと思っていた側の場所に立っている。それが不思議なことでとても嬉しいと言葉した。そして、自分は今まで間違った音楽を作ってきて、色々なことを諦めてきた敗北者だけど、今こんなにも自分の音楽を求めてくれる人がいるのを見ると、間違うのも悪くなかったかなと言いはなった。

その思いを込め、新曲「LOSER」が放たれた。鋭いギターエッジが刻むビートが今までになく、バードな曲だった。しかし、おそらく、彼にとっては最もシリアス。歌詞を全て読み解いた訳ではないが”踊る阿呆に見る阿呆”という部分がキーワードが出てきた時、素直に頷いた。この曲は時代に一石投じる音楽家が必ず通る、分岐点になる曲だと。

ラストは、ハチ時代の曲「パンダヒーロー」米津としてもリメイクした「ドーナツホール」が駆け抜けていき。本編が終わる。

アンコールが鳴り響くなか、恒例のロックインジャパン花火が打ち上げられたあと、再び米津らが登場。
最後の一曲は「ポープランド」が新たなる旅立ちを歌った。
敗北者から音楽シーンを変える存在へ歩を進める彼だからこそ、作ることが許された曲が「LOSER」なのだ。その現在地と出発点「ポープランド」がここ、ひたちなかの夜空で一本の線でつながった。

米津玄師が本当に時代の寵児なったとき。この瞬間を見れなかった人は一生後悔するだろう。ありがちな思いさえよぎる、そんなアクトだった。