DISC REVIEW

the paddles

『スノウノイズ/22』

 

―粋なロックであると信じ続けるバンドの末路―

 

ロックバンドというのは優秀であればあるほど弱さを提示できる。the paddlesの今回の曲たちは何れも弱さを提示している。「スノウノイズ」の男子としての弱さ、「ジパングカウンター」の一歩踏み出すことを躊躇う弱さ、「22」の喪失をおそれる弱さ、こういった気持ちをロックによって投下できる彼らは優秀と言えるだろう。

でも優秀だから寿命が長いとは限らない。特に彼らのような青春の側面を匂わせるスリーピースロックバンドは一瞬で満開になって、瞬時に散ってしまう可能性もはらんでいる。ただそういう刹那的なものもロックの醍醐味である。

おそらく彼らの弱さを提示する行為は、日本人的な粋な佇まいであるという認識のもとに生じたものかもしれない。

弱さを提示する日本のロックバンドの歴史の中で彼等もその1ピースを担うかもしれないし、弱さの提示は粋だ、という者たちが増えれば、日本のロックバンドの可能性も広がると思う。そのために長生きしてほしい。