カネヨリマサル
『心は洗濯機のなか』
―ガールズという意味を探すために出発したバンドが歌うこととは?―
《私は銀杏BOYZになれない》(君が私を)という歌詞が、スリーピースガールズパンクバンドである彼女たちのすべてを物語っている。
女性だからカッコイイとか、男性バンドみたいなものを目指す、という安易な方法論だけで十分だった時代は終わったのかもしれない。もちろん男性バンドには成れない、という地点からスタートした人たちは多い。しかし明確にこれを歌詞にしたことで、日本のガールズバンドは、ガールズバンドであるということ自体を、自己批評する時代に入ったのだと思う。
彼女たちが指し示したガールズという言葉は、それ自体を揶揄することでもなく、男性を対象物とした、強さを提示する女性像の確立でもない。性別を抜きにした、あくまでも私という存在がパンクのよって消化され、潔く提示されたものである。
男性を思い思われながらも、カネヨリマサルものは“私”自身であると振り切る彼女たちは2020年型のガールズバンドの在り方なのかもしれない。