DISC REVIEW

CRYAMY

『#3』

 

イージーライダーが2020年に生まれるかどうかの告白―

 

誰でも嘘をつくことがある。そして本作は何がしかの嘘が出発点となっている。彼らが歌う「嘘」とは「希望」と同意語であり、理想と現実の狭間で揺れ動く感情がロックによって表現された結果生み出されたものだ。

「世界」という曲は、ディストーションをかけたギターとドラムが暴力的にリズムを刻み、情景描写に溢れるセンチメンタルなメロディーと共にオーソドックスなボーカルが繰り広げるロックンロールであるが、そこにはMONGOL800のようなポップさも同居している。

ここでCRYAMYが描く世界とは、儚くも繰り広げられる「あなた」と「わたし」との世界だった。あなたに与えようとした希望が何れも絶望だった現実を歌う時に、主人公は常に嘘をつく事になるが、その暗い状況を寧ろあっけらかんと歌う自由性も持っている。

2020年、日本のロックンロールではイージーライダー的思想は絶滅したのか?CRYAMYのようなロックが存在している事、それ自体が一つの答えになるかもしれない。