DISC REVIEW

CRYAMY

『CRYAMY-red album-』

―最期はロックに救われたと言って死にたい―

ロックはまだ生きている。

20年代の日本で酒と女とロックンロールを体現出来る若手バンドがCRYAMYだ。

荒くれた事を歌っている訳ではなく、たわいもない事をサラッと歌詞にして結果的にそれがロックとして響く。これはカワノと類は友を呼ぶ三人が必然的に鳴らした結果だろう。そしてロックの宿命か、触れれば一瞬で崩れてしまう危険性を内包し、少し未来にはもう存在しない様な儚さを醸し出し進んでいる。

しかし意外にクレバーなカワノも存在し安心も出来る。《くだらないことを歌にする愚かさだけがこれから先の生きる道》「兄弟」。この歌詞から彼のブレない軸を感じる。

この赤盤でクレイジーでクレバーなカワノが歌う事は世界平和ではなく、目の前にいるあなたを救うために変わりたいという事だ。

《昔褒められた「優しさ」は/つけこまれるだけの欠点にしかならん》「鼻で笑うぜ」そうなってしまった日本が「完璧な国」になるまで、彼等には歌い続けてほしいのだ。