DISC REVIEW

AAAMYYY

『AFTER LIFE』

 

―ポストパンクガールはJ-POPガールにあらず―

 

エイミーが何故J-POPガールにならなかったのか、ずっと疑問を持っていた。その理由が今回わかった気がする。この曲にあるダブステップから感じるのはいつもの電子音楽ではなく、生々しさ。ブレイクビーツ的なドラムからは明らかな原始的なリズムが表出していた。

そもそも何故エイミーがシンセの人という語録にこだわっていたのかもわからなかった。でも、おそらく、ふるさとである長野県がキーワードになる。大自然溢れる地点において、真逆の電子音楽は実は親和性が高い。また、その魅力は音楽家を目指し、都会に出る人にとってはもっとも強い武器にもなる。

以前、渋谷陽一がラジオの選曲で、森の中ではテクノがよく合うという事を発言していた。つまりS局とN局みたいなものなのだ。だから、そのシンセの人を武器に都会に出てきたエイミーにとって、J-POPが林立する電子世界は、所謂N局とN局に感じたのかもしれない。

テクノバンドが時に原始的な音に回帰するように、本曲でついにシンセの人を逸脱した。何故なら、今いる大都市の中では、電子音楽は埋没してしまうから。より原始的な歌を放った。つまりこれは彼女が都市から故郷の自分自身に向けた曲。過去の破壊と未来への希望を与えるためのものなのだ。