DISC REVIEW

ザ・リーサルウェポンズ
『アイキッドとサイボーグジョー』

ーアロマンティックに恋してるー


そもそも最適化された世界でロックは必要かと問いかけられた場合。ザ・リーサルウェポンズみたいなのは必要だと私は答える。彼らこそ、最適化された世界のロックに最適化していると思う。

80sハードロックと90sポップロックに、80sアイドル感や多彩な笑いを散りばめ、トータルでJ-POPにまとめ上げたアイキッドと、それを体現するアメリカ人のサイボーグジョーが歌う日本語歌詞。2人のギミック感が最適化へのカギになっている。

最近、他者に恋愛感情を抱かないアロマンティックな方がいると知って、敵わないし届かないと勝手に思っている。でもロックもラブソングを対象化し、届かない愛を歌う事で機能してきた。やはり届かないものと共振したいのがロックなんだと思う。

共振点はもう一度来る、回転数が変われば。彼らは最適化によってロックと共振できた。奇しくも2022年、叶わない平和との共振点を、再びロックが探す役目を担うことになったのは、定められた未来だったか。リアルな世界では、デンジャーゾーンとの共振を避け続けなければいけないのは言わずもがな。