DISC REVIEW

CRYAMY

『#2』

―絶望の再定義―

彼らの5曲入りの1st EP。現在のメンバーが揃った最初の作品でもあるが、今回でバンドのテーマ性の輪郭みたいなものが、おぼろげながら現れてきた。それが“絶望の再定義”だと思う。

「テリトリアル」は1st demoから正式な音源となり、よりグロッシーに変化した。「普通」はポストグランジな曲だが、ここで《機械のような目で見つめるような癖》という歌詞から感じられるのは絶望の側面。次の「twisted」も同様の音楽的傾向を引き継ぎ、絶望を表しつつも《起死回生の妄想を響かせたいと願っても/それでも僕は愛を買って幸せに生きていけるはずさ》のサビでメロコアに陽転する。さらに「雨」ではその流れを汲みながら《精一杯生きた結果/こんな仕打ちで笑っちまうよな》をポップに歌う。最後の「ディスタンス」では《生まれてきてよかったなんて思ったことはないんじゃないかな》とエモコアで歌いきる。

絶望の再定義というバンドとしての大義が生まれた瞬間が本作だろう。