DISC REVIEW

CRYAMY

『#3』

―あなたはもう忘れたかしら― 

6曲入り3rd EPで、CRYAMYが描くロックとは何かが明確になった。

6分49秒の「世界」。古典的なロックの律動とエモでポップな旋律、それに最適な声質が日本の70sフォークソング的抒情詩を描く。間奏からの《街を照らすボロいパチンコの灯りが夕焼けを食って空を塗りつぶすのならば/そこで踊ってほしい/だだ踊ってほしい/ドレスじゃなくたって/ジャージを着てたって》の部分が今は無き世界を魅せる。

その後に3分前後の曲が続く。アップテンポなロックンロール「sonic pop」、エモでパンクな「easily」。ポストグランジな「正常位」。

佳境は7分19秒の「月面旅行」。《どうにか僕らは生きている/生きているから傷ついてる》。普遍的な歌詞で気付かせ、合点出来るのがCRYAMYのロックの特長。最後は「プラネタリウム」。《私とあなただけ》と、CRYAMYの主題をバウンス感のあるロックで締める。

《よほどのことではない限り誰も死なずにすんでいる》世界を忘れずCRYAMYはこれからも歌う。