DISC REVIEW

GRAPEVINE

『ねずみ浄土』

 

グレイプバインはどこへ消えた?―

 

まさに田中和将の独唱状態である。本曲では彼の思想が暴走している。しかし、それを良しとしているバンド。相変わらず繋がりが強固な方達だ。

今回はコーラス、ヴァースを繰り返すトラッドな形式で、R&Bに影響を受けた歌唱で紡がれる。引っかかるのはブリッジ部の《わたしは正直でしたか》という歌詞。

ねずみ講は口コミで広がる。悪い噂はすぐに広まる。葡萄の蔓の様にコロナが蔓延している。それが芋蔓式に今までの普通を引き抜いた。

彼らは《新たな普通》を新たなゲームのススメとして提示する。それはどういったものか。そのヒントが最後の歌詞《バナナはフルーツ/それともスイーツ/わたしも喰らう/好き嫌いはよせ》にあるようだ。

さて、グレイプはどこに消えた?ここにはバナナしかないが…正直者の私にはグレイプを頂けますよね?その時ふと気がついた。新たなPLAY(遊び)がいつの間にかPRAY(祈り)へと繋がっていた事に。