DISC REVIEW

足立佳奈

『まちぼうけ』

-21才の足立佳奈が歌うべき事とは何カナ?―

2017年デビューのZ世代SSW。パワフルな応援ソングの歌い手から徐々に変化してきた彼女。2021年最初の配信SGは明確な分岐点になった。

「話がある」や「二子玉川」での洗練されたエモさにその予兆はあった。古典的な言葉を使うなら、”大人になった彼女”という解釈になるが、Z世代には新方程式が必要かもしれない。

本曲のエモーショナルポイントは《欲しいのは恋人じゃなくて/君だって/君なんだって/君じゃなきゃダメなんだ》がヒップ感のあるリズムで歌われる部分。この歌詞にある微妙な違和感を辿ると、意外な地点に帰着する。

それがジェンダーレスという視点だった。これをZ世代感の歌詞と捉えるなら、結果的に全世代に理解出来てしまうような、ポップミュージックのマジックが存在している。

”まちぼうけ”という、むしろZ世代からは出てこないワードをZ世代の必然的な主題として成り立たせてしまった。足立佳奈が歌うべき事がそこに存在しているのカナ。